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データエンジニアの備忘録。分析だったり、読んだ本のメモだったり。

Outside Insight 競争優位を導く「ネットデータ活用」戦略

Outside Insight 競争優位を導く「ネットデータ活用」戦略

Outside Insight 競争優位を導く「ネットデータ活用」戦略

  • 作者: ヨーン・リーセゲン,坂口恵
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019/06/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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を読んでみたら、なかなかに面白かったので内容を紹介します。

ヨーン・リーセゲン(Jorn Lyseggen)とは?

Outside Insight 競合優位を導く「ネットデータ活用」戦略 (原題 Outside Insight) はヨーン・リーセゲン(以下、著者)によって2017年に書かれた本です。著者の略歴は以下の通りです。

メルトウォーター社の創業者。2001年、ノルウェーにおいて資本金わずか1万5000ドルで始めた同社を、世界の6大陸に60のオフィスを有し、全世界3万社以上のクライアント企業にメディア関連情報の収集・分析サービスを提供する業界リーダー企業に、独力で育て上げた。メルトウォーターは、リーセゲンが創業した4社目の企業になる。メルトウォーター以前には、企業向けソフトウェアサービス企業を2社、上場IT企業を1社手がけている。

ヨーン・リーセゲン. Outside Insight (Japanese Edition) (Kindle Locations 4121-4125). Kindle Edition.

この本は、メルトウォーター社の創業社長による、Outside Insightの紹介です。

Outside Insightとは何か?

ERPやBIなどのツールを使うことで社内データを一箇所に収集し、そのデータ分析を通じて経営戦略を考えることが増えてきています。 この本では、社外のデータから得られる知見をOutside Insightと呼び、その活用事例を紹介しています。 社外データとは、LinkedInやFacebook、Twitterなどのソーシャルメディアの情報など、インターネット上で一般に公開されているデータをさしています。

求人の分析例

シジョン、レクシスネクシス、ボーカス、メルトウォーターの4社の求人状況を分析してみたところ、以下の図の結果が得られた。

  • レクシスネクシスはメルトウォーターに比べて大きな企業なのに、求人はメルトウォーター社並みで成長が鈍化していることがわかる。
  • シジョンは米国での求人のみを行なっており、米国中心主義である。
  • メルトウォーターはセールスの求人が多く、拡大意欲が明確である。

f:id:ktr89:20190715221315p:plain (本書より引用)

f:id:ktr89:20190715221325p:plain (本書より引用)

f:id:ktr89:20190715221337p:plain (本書より引用)

ソーシャルメディア分析例

ソーシャルメディア上での引用回数を分析してみたところ、以下の結果が得られた。

  • マクドナルドはバーガーキングの2倍の店舗があるが、ソーシャルメディア上では4倍引用されている。

f:id:ktr89:20190715221902p:plain

結論

社外データの領域は、次なるフロンティアだ。オープンインターネット上で連日生み出される何千億ものデータポイントを体系的、かつ緻密に分析することで、現在の勘に頼る作業は、トレンドを突き止め、将来展開の予測につなげる事実ベースの分析に置き換わっていく。社外のデータのジャングルを征服できれば、企業は自社を取り巻く競争環境、および業界の動向についてより深く理解することが可能となるのだ

ヨーン・リーセゲン. Outside Insight (Japanese Edition) (Kindle Locations 3175-3179). Kindle Edition.

社内データを勘を頼りに分析するのはやめにして、社外データを分析して未来に進みましょう。という結論。

所感

  • 求人の分析から他社の状況を探る分析は興味深いし、納得感がある。
  • メルトウォーター社は、公開データの分析をするビジネスをやっているため、データの独自性で競争優位を出せず、分析手法で優位性を出さないといけない。大変なビジネスだと思う。
  • BIツールが、経営層がデータ・ドリブンな意思決定ができないために役に立たないという話をよく耳にする。Outside Insightだと、非構造データを大量に分析する必要があるし、導入はBIツール以上に困難だとおもう。
  • イノベーションのジレンマ(イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press))に関する例など、なんども語られてきた話題が多くしつこい。
  • 文中に出てくるこの言葉が気に入った。ファイブフォース分析ってキーワードの羅列はよく見るけれど、ちゃんと定量的に分析しているのをなかなか見ないので、良い。

    適切なソフトウェアを使えば外部ファクターのインパクトをリアルタイムで測定できるようになり、マイケル・E・ポーターのファイブフォース分析には、ダッシュボードとリアルタイムのアラートによって息吹が吹き込まれることだろう。

  • Outside Insightの分析事例集として、Outside Insight 競争優位を導く「ネットデータ活用」戦略は悪くない本だと思う。